THOM04  ビーム診断・ビーム制御1  8月3日 小講堂(1F) 9:50 - 10:10
電子蓄積リングにおける閉軌道補正への機械学習適用の試み ‐あいちSRでの試験例‐
Pilot application of machine learning to COD correction for the electron storage ring at Aichi Synchrotron Radiation Center
 
○石田 孝司,高嶋 圭史,保坂 将人,持箸 晃,真野 篤志(名古屋大学シンクロトロン光研究センター),大前 良磨(名古屋大学工学研究科),大熊 春夫(高輝度光科学研究センター)
○Takashi Ishida, Yoshifumi Takashima, Masahito Hosaka, Akira Mochihashi, Atsushi Mano (Nagoya University Synchrotron Radiation Research Center), Kazuma Omae (Graduate School of Engineering, Nagoya University), Haruo Ohkuma (Japan Synchrotron Radiation Research Institute)
 
あいちシンクロトロン光センターでは電子蓄積リングを周回する電子ビームに対して固有値分解法に基づいた閉軌道補正を行っている。現在、軌道補正は水平方向と垂直方向は相関がなく独立であると仮定して行っており、さらにそれぞれの方向についても補正に用いるステアリング電磁石に流す電流と軌道の補正量は線形であるとし、2次以上の効果を考慮していない。加えて、軌道補正を行ったのちも電子ビームの軌道は徐々に基準軌道からずれていくことが確認されている。その原因は加速器収納部の気温変化による本体の変形が原因として考えられ、気温の変化は場所により異なり、一様ではない。 周囲の環境をも含んだ加速器全体の精密なモデルは極めて複雑であることから、従来の軌道補正法の置き換えとして、初歩的なニューラルネットワークに、まずは従来の固有値分解法を学習させ、それによる軌道補正を試験的に行った。 今後の展望としては各ステアリング電磁石に流す電流を変えた場合の軌道の応答を実際に測定し、そのデータに基づいた軌道補正が正しく行えるかを検証する予定である。また電子蓄積リング全周に渡って温度分布とその時間変化を取得し、それと軌道変化との相関を、これも機械学習によって得ることを試みる。最終的には相関が複雑、または、現在は不明である軌道補正以外の加速器制御に関わる最適パラメーターの自動取得への応用や自律的な運転システムの構築も考えている。