THOM03  ビーム診断・ビーム制御1  8月3日 小講堂(1F) 9:30 - 9:50
LバンドRFデフレクタによるSACLA入射部での電子ビーム時間構造測定
Temporal structure measurement of an electron beam at the SACLA injector using an L-band deflector
 
○前坂 比呂和,大島 隆(理研 放射光科学総合研究センター),松原 伸一(高輝度光科学研究センター),原 徹,田中 均,大竹 雄次(理研 放射光科学総合研究センター)
○Hirokazu Maesaka, Takashi Ohshima (RIKEN SPring-8 Center), Shinichi Matsubara (JASRI), Toru Hara, Hitoshi Tanaka, Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center)
 
X線自由電子レーザー施設SACLAにおいて、線型加速器入射部での速度変調バンチング後の電子ビームの時間構造を測定するため、Lバンドデフレクタ空洞を設計・製作・設置した。SACLAでは、熱電子銃からの電子ビームをチョッパとコリメータで1 nsだけ切り出し、238 MHz, 476 MHzの加速空洞で速度変調バンチングをおこなう。速度変調バンチング後のバンチ長は数10 ps、運動エネルギーは約1 MeVである。このビームにLバンドデフレクタにて横方向に時間依存のキックを与え、下流のスクリーンモニタでビームプロファイルを観察することで時間構造を測定する。また、入射部ではビームの収束にソレノイドレンズを使っているため、デフレクタ空洞で与えた横方向キックが回転することになる。以上の条件から、Lバンド(1428 MHz)にてTM110モードを励振するピルボックス空洞を設計することとした。入力ポートを2つ用意して直角に交わるように設けることで、直線偏波と円偏波の選択ができたり、偏波方向を自由に決められたりするようにした。実際にデフレクタ空洞でビームに横方向キックを与えたところ、キック方向を自由に変えられることが確認でき、ソレノイドレンズによる横方向運動量の回転がある条件下でも時間構造が適切に測定することができた。このようにして得られた時間構造は、入射部のビーム調整に役立てられている。