THOL06  加速器応用・産業利用2  8月3日 講堂(2F) 10:40 - 11:00
大強度化運転に向けた水銀ターゲット容器の製作技術に関する最近の研究開発の状況
Recent R&D status in fabrication technology of mercury target vessel (module) for high-intensity operation
 
○若井 栄一,涌井 隆,粉川 広行,直江 崇,菅 文海,羽賀 勝洋(原子力機構 J-PARCセンター),芹澤 久,森 裕章(大阪大学),堀口 克彦(原子力機構 工作技術部),高田 弘(原子力機構 J-PARCセンター),安 一三,櫛田 豊(原子力機構 工作技術部),李 太玉(インサイト),二川 正敏(原子力機構 J-PARCセンター)
○Eiichi Wakai, Takashi Wakui, Hiroyuki Kogawa, Takashi Naoe, Wenhai Guan, Katsuyoshi Haga (J-PARC Center, JAEA), Hisashi Serizawa, Hiroaki Mori (Osaka Univ.), Katsuhiko Horiguchi (Engineering Services Department, JAEA ), Hiroshi Takada (J-PARC Center, JAEA), Kazumi Yasu, Yutaka Kushida (Engineering Services Department, JAEA ), Taiyu Li (Insight k.k.), Masatoshi Fuatakawa (J-PARC Center, JAEA)
 
基礎科学や産業の発展のため高エネルギー加速器標的システムで生成される2次粒子によるビーム利用実験が数多く行われていて、従来に比べてビーム強度を数倍高くさせたビーム利用が期待されている。J-PARCセンターの物質生命科学施設(MLF)の中性子源の水銀標的システムはこれまで約100〜約300 kWの陽子ビーム強度下で安定運転を実施してきた実績を持ち、1 MWでの大強度運転が期待されている。ところが、2015年に陽子ビーム強度を徐々に500 kWまで上昇させたところ、水銀標的容器の2重保護容器の一部で損傷が発生した。この原因は水銀ターゲット容器の構造に係る溶接部近傍において、運転中に容器内で発生する熱応力や高サイクル疲労などが起因した保護容器内での、き裂進展の損傷によるものと考えられる。このため、水銀ターゲット容器において陽子ビームや核破砕による熱負荷が大きい領域において、容器構造の改良、溶接部の削減や溶接方法の改良を行うとともに、容器の健全性を調べるために最新の超音波検査技術を駆使して溶接部などの欠陥の有無等を調べながら改良型標的容器の製作を進めている。そして、秋以降の運転で段階的に出力を上げて500 kWでの安定運転を行う計画である。本発表では、大強度化運転に向けた水銀ターゲットの製作技術に関するR&Dの最近の状況を報告し、今後の抱負や世界的な動向等を述べ、幅広く議論を行う予定である。