THOL05  加速器応用・産業利用1  8月3日 講堂(2F) 10:10 - 10:30
新型サイクロトロンMP-30
Sumitomo multi-purpose cyclotron MP-30
 
○谷口 愛実,筒井 裕士,宇野 浩一,衞藤 晴彦,密本 俊典,日朝 俊一(住友重機械工業株式会社)
○Manami Taniguchi, Hiroshi Tsutsui, Koichi Uno, Haruhiko Etoh, Toshinori Mitsumoto, Toshikazu Hiasa (Sumitomo Heavy Industries, Ltd.)
 
今や、医療用加速器は診断にとどまらず、治療の分野でもなくてはならないものになった。 住友重機械工業(株)では、大型研究施設で培った加速器設計・製造技術を基盤として、PETを始めとするRI製造やがん治療のために用いられる加速器および周辺技術の開発を精力的に進め上市してきた。 近年では、抗体標識やRI内用療法といった新たな医療用RIの研究開発が盛んになり、金属系RIを製造できる加速器のニーズが高まってきた。 当社ではこの新たなニーズに対応すべく多核種のRI製造を可能にするサイクロトロン(MP-30)を開発した。 MP-30は正負両イオンを入射、加速、引き出しできるユニークなサイクロトロンである。 加速イオンに応じて2種類のイオン源、2種類の引出し機構を搭載し、Proton(15-30MeV可変)、 Deuteron(8-15MeV可変)、α(32MeV固定)を得ることができる。 さらにビーム輸送系では、ターゲットの状態(相)に依らず効率的にRIを製造できる垂直照射システムを採用し、ターゲット自動搬送装置も備えている。 2016年5月、本装置を福島県立医科大学殿に納入し、同年10月には、α線内用療法という新たながん治療法で注目されている211Atの製造に成功した。 本発表では、MP-30の開発概要と性能評価について報告する。