THOL01  加速器応用・産業利用1  8月3日 講堂(2F) 8:50 - 9:10
極微量放射性核種を超高感度で検出可能な6 MVタンデム加速器質量分析装置の開発
Development of the 6 MV tandem accelerator mass spectrometry system for ultrasensitive detection of trace radionuclides
 
○笹 公和,高橋 努,細谷 青児,高野 健太,落合 悠太(筑波大学),松中 哲也(金沢大学),末木 啓介(筑波大学)
○Kimikazu Sasa, Tsutomu Takahashi, Seiji Hosoya, Kenta Takano, Yuuta Ochiai (Univ. of Tsukuba), Tetsuya Matsunaka (Kanazawa Univ.), Keisuke Sueki (Univ. of Tsukuba)
 
加速器質量分析(Accelerator Mass Spectrometry: AMS)は,同位体比10E-10から10E-15レベルの極微量放射性核種の検出が可能であり,その利用が急速に進展している分析手法である.筑波大学では,2016年に完成したペレトロン型タンデムを用いて,国内最大となる6 MVタンデム加速器質量分析装置の開発を進めている。6 MVタンデム加速器質量分析装置には,40試料を装填できるCsスパッタ型負イオン源(MC-SNICS)が2台設置されている.そのうち1台は,CO2ガス供給システムを搭載しており,0.5 〜 1 mg C 程度のCO2ガス試料からCsスパッタ法により,直接的にC-ビームを引き出すことができる.現在,12C-ビームをCO2ガス試料から12μA引き出すことに成功しており,14Cの迅速ルーチンAMS測定に対応可能となっている.極微量核種検出ラインは,22.5°球面電極型静電分析器と5電極型のガスΔE-E検出器からなっている.14C-AMSでは,加速電圧5.0 MVにより,荷電数q = 4を用いて25 MeVで試験測定をおこなった.14C測定性能として,0.2 %の測定精度と国内最高感度となる約60,000年のマシンバックグラウンド(0.04 pMC)を達成している.また,14C測定の他に,10Be, 26Al, 36Cl, 41Ca, 129I等の長寿命放射性核種が検出可能となっている.本発表では,最新の大型AMSシステムである筑波大学6 MVタンデム加速器質量分析装置の開発状況と多核種AMSによる高精度年代測定研究の展望について報告する。