IPP004  革新的加速器技術(の提案)  8月1,2日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
入射・蓄積部一体型小型リングのためのビーム入射・制御手法の開発
Development for beam control procedure for all-in-one injection and storage ring magnets
 
○飯沼 裕美(茨城大理工),中山 久義,佐々木 憲一,三部 勉(KEK),阿部 充志(日立研開)
○Hiromi Iinuma (Ibaraki-Univ.), Hisayoshi Nakayama, Ken'ichi Sasaki, Tsutomu Mibe (KEK), Mitsushi Abe (Hitachi Ltd., CTI-Energy)
 
J-PARC/MLFでミューオン異常磁気モーメント(g-2)とミューオンの電気双極子モーメント(EDM)の精密測定実験を行うための要素技術開発の一つとして、磁場の強さ3T、均一度1ppmの医療用MRI磁石タイプの蓄積リングに線形加速器からの300MeV/cのミューオンビームを入射・蓄積するために3次元らせん軌道の入射および蓄積手法の検討を行っている。ソレノイド型磁石のフリンジ部に入射角 (~20度) でビームを入射し、径方向磁場により入射ピッチ角を減少させながら長手方向1.4m程度移動し、蓄積領域まで誘導する。磁石中心部で長手方向のビーム運動を止めるためにパルス状の軸対称径方向磁場(垂直キック)を与える。また、蓄積領域内にビームを保持するために弱収束磁場(静磁場)も付加する。3次元らせんビーム入射の特徴は(1)入射部と蓄積部が一体型磁石の中に納まっており、入射と蓄積をスムーズにつなぐことが可能であること、(2)ソレノイド磁場にビームを蓄積するため、ソレノイド軸方向、径方向のビーム位相空間に強い相関(X-Yカップリング)があり、一般的なビーム制御とは異なるビーム調整手法を用いる点である。 本発表では、3次元らせん軌道入射の概要と、3次元らせん軌跡を実現するための入射部と蓄積部の弱収束磁場空間分布の設計について議論する。また、入射領域と蓄積領域を結ぶパルス磁場キッカーのパラメータ設計についても紹介し、3次元入射手法の入射効率の議論も行う。