FSP036  施設現状報告ポスター  8月1,2日 ホワイエ(2F) 13:00 - 15:00
群馬大学重粒子線医学センターの現状報告
Present status of Gunma University Heavy Ion Medical Center
 
○想田 光,菊池 遥,遊佐 顕,田代 睦,島田 博文,松村 彰彦,久保田 佳樹,金井 達明,取越 正己(群大重医セ)
○Hikaru Souda, Haruka Kikuchi, Ken Yusa, Tashiro Mutsumi, Hirofumi Shimada, Akihiko Matsumura, Yoshiki Kubota, Tatsuaki Kanai, Masami Torikoshi (GHMC)
 
群馬大学重粒子線医学センターでは、普及型炭素線治療装置による最大400MeV/uの炭素ビームを用いて2010年3月から癌患者に対する治療照射を行い、2017年2月までに累計2277名の治療を遂行した。治療装置の運転状況は、1日単位で治療が停止するようなトラブルはなく概ね順調に稼働している。加速器系では2016年3月にECRイオン源永久磁石の交換を行った。これは放電増加の調査として行った磁場測定で六極磁場の局所的低下が見られたための処置であり、取り外して調査した結果磁極の接着が剥離して中心に向けて押し込まれ、プラズマチェンバーが偏心していた。現在は改修し予備機として復帰済である。また、治療室でのビーム軸時間変動について調査を行い、シンクロトロン初期化後にヒステリシスによって偏向磁石の磁場が低下し、閉軌道が外側にずれることが原因とわかった。装置の改良については、治療待機時のシンクロトロン電磁石のパターン運転を停止するフラットベース待機機能を実装し、2016年6月から運用している。これにより治療時間帯で約30%、全時間平均で11%の電力量低減を行った。実験運用については、170MeV/uモノピークでのRF-KO取り出しによる実験用ビーム供給を行い、ブラッグピーク位置の高精度測定やコリメータを利用した微小ビーム試験などに活用した。この過程で、既存の軌道補正結果を流用して効率的に新エネルギーの運転パラメータファイルを作成する手法を活用した。