WEOL16  加速器応用・産業利用2  8月10日 国際会議室 16:20 - 16:40
名古屋大学における静電加速器を用いたホウ素中性子捕捉療法用中性子源の開発
Development of the Electrostatic Accelerator driven BNCT neutron source at Nagoya University
 
○鬼柳 善明,土田 一輝,古澤 大貴,校條 洋輔,山崎 淳,渡辺 賢一,瓜谷 章,辻 義之,恒吉 達矢(名大工),市川 豪,広田 克也,伊藤 維久弥,北口 雅暁,清水 裕彦(名大理)
○Yoshiaki Kiyanagi, Kazuki Tsuchida, Daiki Furuzawa, Yosuke Menjo, Atsushi Yamazaki, Kenichi Watanabe, Akira Uritani, Yoshiyuki Tsuji, Tatsuya Tsuneyoshi (Graduate School of Eng., Nagoya Univ.), Go Ichikawa, Katsuya Hirota, Ikuya Ito, Masaaki Kitaguchi, Hirohiko Shimizu (Graduate School of Sci., Nagoya Univ.)
 
名古屋大学では、ボロン中性子捕捉療法用の工学実験を主たる目的とし、理工学実験にも供することができる中性子源NUANS(Nagoya University Accelerator-driven Neutron Source)の建設を進めている。加速器はIBA社の静電加速器ダイナミトロン(最大2.8MeV、15mA)で、リチウムターゲットを使用したコンパクトな中性子源を開発し、これらを組み合わせてBNCT装置としての工学的成立性を検証するのを目的としている。加速器は2016年1月に2.8MeV,11mAのビームを達成した。その後、安定したビームをえるために調整を続けている。ターゲットは、水素脆化に強いエンボス構造をもつTa基板にTiの薄膜を接合し、エンボス構造の間にLiを封入する構造になっている。ターゲットに入射する陽子のヒートフラックスは6.6MW/m2であり、高効率の除熱が必要となる。銅の水冷却部を作成し、電子ビーム加熱実験をNIFSのACT2を用いて行った。その結果、冷却水チャンネルに乱流促進の機構をつけることにより、除熱効率が大幅に向上し、除熱が可能である見通しを得た。また、減速材システムはMgF2を主たる減速材とし、反射体、コリメータを設置したものを数値シミュレーションで検討し、約2x10**9n/sec/cm2の熱外中性子束が得られる高性能システムを設計した。 今後、加速器の安定ビーム供給、ターゲットの冷却性能の向上や全体製作、減速材システムの性能向上を進めていく。