TUP136  加速器土木・放射線防護  8月9日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
測位センサネットワークシステムの放射線環境下(J-PARC)における耐久性の検証報告
Report of the radiation damage study of the positioning sensor network system in high radiation environment(in J-PARC)
 
○川端 康夫,松田 浩朗,松元 和伸(飛島建設株式会社),田頭 茂明(関西大学),石井 恒次(高エネルギー加速器研究機構),吉岡 正和(東北大学・岩手大学)
○Yasuo Kawabata, Hiroaki Matsuda, Kazunobu Matsumoto (TOBISHIMA CORPORATION), Shigeaki Tagashira (Kansai univ.), Koji Ishii (KEK), Yoshioka Masakazu (Tohoku Univ. Iwate Univ.)
 
 筆者らは,長大トンネルのILCにおいて施設内の研究者の位置情報,滞在時間および緊急時の双方向情報伝達等を実現するために,測位センサネットワークによる双方向通信と同時測位を実現する安定性・信頼性の高い位置管理システムの開発を進めてきた。既に位置管理システムは実用レベルにあるが,今後の課題として,機器運転時における電波ノイズの通信精度への影響,測位センサ基地局の放射線に対する耐久性を検証する必要がある。2015年度は、現在稼働中であるJ-PARCのMR加速器トンネル内に通信機器を持ち込み、高放射線環境下での装置及び通信状況への影響を調査した。ビーム運転時には最大で約100Gy/month程度の放射線量(中性子・陽子・ガンマ線等)が照射される場所を選んで設置している。運転開始後、ビーム調整期間中のわずか2〜5日後、放射線量で0.1Gy以下で測位センサ基地局が故障することが判明した。一方で運転開始前の夏期メンテナンス期間中での残留放射線(主にガンマ線)照射試験では1.6Gyまで照射しても異常は見られず、ビーム無しで機器稼働させたドライ運転状態でも異常は観測されなかった。ILCではガンマ線が主になるため、コバルト60を線源とした民間のガンマ線照射施設に測位センサ基地局を持ち込み、1000Gy程度までの照射試験を追加で実施した。本編ではこれらの実験結果について報告をする。