TUP032  高周波源  8月9日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
SPring-8蓄積リングクライストロン用90kV直流高圧電源の更新
Renewal of the 90 kV DC Power Supply for the Klystron of the SPring-8 Storage Ring
 
○惠郷 博文,石井 美保,大橋 裕二,小林 和生,近藤 力,佐々木 茂樹,高嶋 武雄,熊谷 教孝(高輝度光科学研究センター),福井 達(理化学研究所),勝部 貴光(スプリングエイトサービス(株)),齋藤 寛典,溝田 樹容子((株)東芝),今野 修二,山崎 長治(東芝三菱電機産業システム(株))
○Hiroyasu Ego, Miho Ishii, Yuji Ohashi, Kazuo Kobayashi, Chikara Kondo, Shigeki Sasaki, Takeo Takashima, Noritaka Kumagai (JASRI), Toru Fukui (RIKEN), Takamitsu Katsube (SES), Hironori Saito, Kiyoko Mizota (TOSHIBA), Shuji Konno, Choji Yamazaki (TMEIC)
 
SPring-8蓄積リングでは508.58MHzで共振する定在波型空胴を32台用いて16 MVビーム加速を行っている。これらの空胴の大電力高周波源として東芝製クライストロンE3732(定格出力1.2MW)を5台使用している。このクライストロンを駆動するためサイリスタ式90kV直流高圧電源を用いてきた。約20年間の大電力運転によって構成部品の寿命超過、老朽化等による動作不良が発生するようになったため、高圧電源の更新を行った。今回製作した電源はサイリスタ式ではなく12相全波整流方式で、6.6kV-VCB付受電盤、3タップ電圧切換整流変圧器、直流高圧盤、80kV変調アノード電源、ヒータ電源から構成される。受電電圧の調整と安定化に用いられる誘導電圧調整器(IVR)は、誤動作を引き起こすノイズ源となることが多いため、設置していない。運転に必要な700〜900kWの電力調整と安定化は変調アノード電源とローレベルRF機器のフィードバックにより行っている。また、20年間の蓄積リングRF運転でクライストロン短絡現象は一度も発生しなかったため、短絡時の保護に用いられるクローバ回路の設置も省いた。本発表では、この高圧電源の設計、製作及び大電力出力運転の状況について報告する。