TUOM04  ビームダイナミクス・加速器理論  8月9日 会議室201 10:00 - 10:20
空間電荷効果によるエミッタンス低減現象を活かした電子銃システム設計
Electron Injector design based on emittance reductions caused by space charge effects
 
○水野 明彦(高輝度光科学研究センター)
○Akihiko Mizuno (JASRI)
 
線型加速器においては、エミッタンスの定義としてRMSエミッタンスが良く用いられる。これはリウヴィルの体積とは異なるので不変量ではない。実際、空間電荷効果によってRMSエミッタンスが増大することは良く認識されているが、同じく空間電荷効果によってRMSエミッタンスが減少することもあり、著者等によってそのメカニズムが明らかにされている[1]。エミッタンスの低減は、カソード直後に特徴的な空間電荷効果が形成する電場の径方向非線形性によって引き起こされ、ある位置でエミッタンス最小値を示し、その後は増大する。本発表では、まず、このエミッタンス低減現象について概要を論じる。ところで、電子ビーム源は電子銃だけで完結するのではなく、電子銃後に集束および加速デバイスを設置してエミッタンスが安定するまでビームをトランスポートする必要がある。エミッタンスは、集束デバイスにより電場の非線形性が変化するため振動し、また、加速管の位置によっても変化する。発表では、RF電子銃を題材とし、これらデバイスの励磁量、位置を調整することによって、第1加速管以降まで、本現象によってエミッタンスが低減した状態でビームをトランスポートすることが可能であることを示す。[1] A.Mizuno, K.Masuda and M.Yamamoto, NIMA 774(2015) p51-59.