MOP103  ビームダイナミクス・加速器理論  8月8日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
シンクロトロン振動におけるドップラー効果の考察
Consideration of Doppler Effects in Synchrotron Oscillations
 
○神保 光一(京都大学エネルギー理工学研究所)
○Kouichi Jimbo (Institute of Advanced Energy, Kyoto U.)
 
シンクロベータートロン共鳴結合付近で観察されたhorizontal betatron tune jumpを説明するために惰行、シンクロトロン そして ベタートロン運動からなるハミルトニアンが導かれた [1]。惰行、 シンクロトロン そして ベタートロン運動からなるこのハミルトニアンは文献1の式(21)で与えられる。 このハミルトニアンから、文献1の式(26)で与えられシンクロトロン振動の運動方程式が得られる。ここでdispersionによる運動エネルギーの(rationalized) fractional deviation δc、及びシンクロトロン振動による運動エネルギーの (rationalized) fractional deviation δs は、δc , δs << 1、 を満たさなければならないが、一般にphase slip factor η は、1/−η >1、 となる。 この結果は矛盾を生じる。惰行運動が、1/−ηの項を通して、シンクロトロン運動に影響を与えると考えると、この矛盾は解決する。これまでは暗黙のうちにシンクロトロン振動は、軌道粒子を中心として進行方向に起きると予想されてきた。しかし今回の結果はこの予想とは異なる結論を導く。ここではこの結論を物理的に考察する為、ドップラー効果によるsynchrotron tuneの変化について議論する。 [1] K.Jimbo, Physical Review Special Topics - Accelerator and Beams 19, 010102 (2016).