MOP073  光源加速器  8月8日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
SACLAアンジュレータの狭ギャップ化に向けた機械駆動部の強化
Improvements of the SACLA undulator driving system toward a narrow gap operation
 
○長谷川 照晃,田中 隆次,金城 良太,貴田 祐一郎(理研 放射光科学総合研究センター),備前 輝彦,清家 隆光,久間 正之,鏡畑 暁裕(高輝度光科学研究センター)
○Teruaki Hasegawa, Takashi Tanaka, Ryota Kinjo, Yuichiro Kida (RIKEN SPring-8 Center), Teruhiko Bizen, Takamitsu Seike, Masayuki Kuma, Akihiro Kagamihata (JASRI)
 
アンジュレータの狭ギャップ化により、同一電子ビームエネルギーにおける利用波長の広帯域化とパルスエネルギー増大が見込まれ、これにより実験ユーザーの利便性は大きく向上する。しかし、SACLA供用開始後、複数のアンジュレータで当初よりも光スペクトルのバンド幅が広くなり、その場磁場測定システム(SAFALI)による評価で、磁場性能が劣化していることが明らかとなった。アンジュレータの使用とともに症状が発生したことから、使用条件を再現して調査した。その結果、原因は磁石列を支持するボールネジ固定部にある精密ロックナットの緩みであると判明した。アンジュレータには上下に対向する磁石列の支持点が12箇所あり、1箇所でもこの不具合が発生すると磁石列ギャップの均一性が保てず、レーザー増幅利得が劣化する。そこで既存装置に大きな改造を施すことなく、付加的に追加できる緩み対策部品を考案し、運用中のBL3アンジュレータに適用した。さらに、狭ギャップ化に伴うSAFALIの諸問題を解決することにより、狭ギャップ化を実現し、2016年9月以降、これまでの最小ギャップ3.5mm/K値2.1から2.7mm/ K値2.7程度への性能向上が予定されている。