MOP069  光源加速器  8月8日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
SPring-8 蓄積リングの電磁石と架台の温度および位置の変動と軌道変動
Temperature and Position Variation of the SPring-8 Storage Ring Magnets and Girders and its Effect to Electron Orbit
 
○妻木 孝治(高輝度光科学研究センター)
○Koji Tsumaki (JASRI/SPring-8)
 
SPring-8では初期のころ、運転開始とともに軌道が徐々に変動していくことが観測された。その理由として通電により電磁石や架台が温められ磁石中心の位置が変化し、軌道が変化するものと推定された[1]。そのため運転の一週間ほど前から通電し、電磁石と架台を熱平衡状態に持って行ってから運転するようにしていた。さらに最近では経費節約の観点からクイックスタートの試験を行い[2]運転の2日まえから通電するようにしている。軌道変動の原因は電磁石や架台の位置の変化とされているが、以前調査した時は1架台上の電磁石と架台の温度を測定しただけであり、位置の変化はレーザーとCCDカメラによる測定で精度的にも必ずしも十分とは言えなかった。今回、温度と磁石の位置の変化と軌道の変化の関係をより明確にするため、温度測定は2セル分6架台上の電磁石と架台の温度を熱電対で測定し、位置の変化もより正確なワイヤーによる計測システムを3架台に設置し、その結果をデータベース上に記録するようにした。これらの結果をもとに温度とともに電磁石や架台がどのように変形し、それが軌道にどのような影響を及ぼすかについて述べる。 [1] K. Tsumak et. al., "Effect of Temperature Variation to the Beam Stability of the SPring-8 Storage Ring", SPring-8 Annual Report, 1998, p. 129. [2] 高雄勝,"クイック・スタート試験の結果報告", SPring-8 ACC-MEMO, 2009-07.