MOP027  高周波加速空胴  8月8日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
低RRR/Large Grainニオブを用いた1セル超伝導加速空洞の製造と評価
Fabrication and Evaluation of SRF Single-cell Cavity Made of Low RRR/Large Grain Niobium
 
○山中 将,清水 洋孝,井上 均,渡辺 勇一,道前 武,梅森 健成(高エネ研)
○Masashi Yamanaka, Hirotaka Shimizu, Hitoshi Inoue, Yuichi Watanabe, Takeshi Dohmae, Kensei Umemori (KEK)
 
超伝導加速空洞のセル部の製造には、ニオブインゴットを鍛造・圧延して結晶粒を微細化した板材(Fine Grainと呼んでいる)を用いるのが一般的である。これに対して、円柱状のニオブインゴットを2〜3 mmの厚さに切断して板材として用いる方法がある。電子ビーム溶解で製造されたインゴットの中央部は150 mm角程度の巨大結晶となり、周辺部は10〜50 mm程度の結晶が見られる。これをLarge Grainと呼んでいる。切断には、半導体用シリコンを切断するのと同じく、マルチワイヤーソーにて一気に複数毎の切断を行う。ニオブは活性であり、鍛造時に1000℃近くまで加熱するため表面が酸化する。これを圧延前に除去するため歩留まりが悪い。Large Grain材は低コストの特徴がある。また、空洞の表面抵抗の低減に有効という報告もある。さらに本研究では、低RRRの安価なインゴットを採用して、更なるコストダウンの可能性を探求した。KEK/CFFにおいて、上記の材料を用いて1.3 GHz TESLA-like 1セル空洞を製造した。たて測定の結果、最大加速勾配は31 MV/mに達した。高RRRのLG材、FG材を用いた同形状の空洞も製造して、性能比較を行った。LG材は異方性があり、製造しにくい問題点もある。また、今回の低RRR材では、ILC仕様には到達していない。総合的に評価した結果について報告する。