MOP016  高周波加速空胴  8月8日 コンベンションホール 13:10 - 15:10
高周波窓が交換可能なARES空洞用入力結合器
RF INPUT COUPLER WITH A REPLACEABLE WINDOW FOR THE ARES CAVITY
 
○影山 達也,吉野 一男,坂井 浩,阿部 哲郎,竹内 保直(KEK)
○Tatsuya Kageyama, Kazuo Yoshino, Hiroshi Sakai, Tetsuo Abe, Yasunao Takeuchi (KEK)
 
SuperKEKBにおいては、先のKEKBでの大電流ビーム加速に実績を有するアレス空洞(RF周波数:508.9 MHz)が再使用される。一方、入力結合器については、空洞1台あたりのビーム電力増大に伴い、性能増強型(給電電力750kW以上、入力結合度5以上)に順次交換を進めている。当該入力結合器は、ループアンテナを先端に有する同軸管構造であり、途中に円板形アルミナ窓が配されており、多段ロウ接合(通常2〜3段)にて製作される。窓の真空側表面にはマルチパクタ放電を抑えるべく窒化チタン膜が施こされるが、現製作方法では後工程のロウ接合での膜への熱影響が避けられない。成膜条件にも依るが、熱影響による窒化チタン膜の電気抵抗の著しい低下が窓破損に至る異常発熱を起こした事例もある。逆に言えば、多段ロウ接合による製作方法が窓の成膜条件に制限を課すことになる。本論文では、成膜済みの窓に対する後工程での熱影響を避けるべく、新たに製作方法を見直して開発された入力結合器について報告する。新型と従来型の最も違う点は高周波窓部品と同軸管部品の組立にある。従来型はロウ接合であったが、新型では、内・外導体のRFコンタクト(真空中)はボルト締結方式とした。外導体側の真空封止については、外縁リップ金具をシール溶接する方式を採用した。結果として、損耗リスクの高い窓部品のみを交換すれば結合器として再生可能な構造となっている。