WEP123  加速器技術/真空  8月5日 小ホール 13:00 - 15:00
ケミカルエッチング処理した金属表面とコーティングした金属表面の2次電子放出率の比較
COMPARISON OF SECONDARY ELECTRON YIELDS FROM CHEMICALLY ETCHED AND THIN FILM COATED METALS
 
○照井 真司,久松 広美,石橋 拓弥,末次 祐介,柴田 恭,白井 満(高エネ研)
○Shinji Terui, Hiromi Hisamatsu, Takuya Ishibashi, Yusuke Suetsugu, Kyo Shibata, Mitsuru Shirai (KEK)
 
近年・将来の陽電子/陽子蓄積リングでは、ビーム軌道周辺の電子によって励起されるビーム不安定性、いわゆる電子雲不安定性の抑制が重要な課題となっている。 電子雲の発生過程は、放射光が真空チェンバーの壁に照射され光電子が発生され、その光電子がバンチの電場でキックされ真空チェンバーに衝突して出てきた2次電子が、正電荷ビームにまとわりつくというものである。この電子雲が、ヘッドテイル不安定性等の問題を引き起こす。 従来よく用いられている対策は、ビームチェンバー内面に2次電子放出率の小さい、例えば、窒化チタン(TiN)やグラファイトのコーティングを行うことである。 しかし、ビームチェンバーの形状が複雑だったり、温度を上げられない機器が取り付けてある場合には、コーティングは採用できない。 我々は、コーティングが難しいビームチェンバーの2次電子放出率を減らす一つの方法として、内面をケミカルエッチングして表面を荒らす手法を提案している。 今回の発表では、銅チェンバーを想定して、表面をケミカルエッチングした銅サンプルと、表面にTiNとグラファイトをコーティングしたサンプルを作製し、それらの2次電子放出率とガス放出率を測定した結果等を報告する。ケミカルエッチングの有用性を示す結果を得ることができた。