WEP043  加速器技術/粒子源  8月5日 小ホール 13:00 - 15:00
放射線生物実験用卓上誘電体イオン加速システムの基礎研究
Development of a desktop Dielectric Ion Accelerator
 
○四宮 権一,上坂 充,神野 智史(東京大学),吉田 光宏,小山 和義,夏井 拓也(高エネルギー加速器研究機構)
○Kenichi Shinomiya, Mitsuru Uesaka, Satoshi Jinno (The University of Tokyo), Mitsuhiro Yoshida, Kazuyoshi Koyama, Takuya Natsui (KEK)
 
本研究は世界初となる卓上スケールの誘電体イオン加速システムの開発を目的とし、従来の重粒子加速施設と比べ、小型で持ち運び可能な装置とすることで、重粒子線治療の普及や放射線生物学実験への応用を目指している。加速対象はカーボンイオンとし、十数センチの加速管から500[keV]~1[MeV]の加速を目標とする。 本加速器に誘電体を用いる理由として、誘電体の基板上に伝送線路を作製することが可能になることが挙げられる。伝送線路の一例として同軸ケーブルがあり、それと等価である誘電体のSiウェハー基盤を2枚組み合わせたBlumlein回路を多段に積み重ね、伝送線路の末端に生じる変位電圧により電場を発生させ重粒子を加速する。 多段Blumlein回路を用いることにより、絶縁耐圧を上げ高加速勾配を実現でき、高電圧・短パルスを得ることが出来る。またBlumlein回路では伝送線路を長くすることによりパルス幅を広げられることから、回路の形状が大きるなる傾向にあったが、本加速器では伝送線路をメアンダ構造にすることで大幅に形状を小型化することができる。このBlumlein回路を数十段積み重ね、それをいくつかのユニットに分け、重粒子の移動速度に合わせてユニット毎にPhotoconductive Switchを用いてスイッチングを行い多段に加速していく。 講演では誘電体の特性や構造、加速実験の準備状況について発表する。