THP112  加速器技術/レーザー  8月6日 小ホール 13:00 - 15:00
パルスラジオリシスシステム改善のためのフェムト秒ファイバレーザの開発
Improvement of pulse radiolysis system by introducing the femtosecond pulsed laser
 
○添田 雄史,伊藤 孔明,斎藤 悠太郎,保坂 勇志(早稲田大学理工学術院総合研究所),坂上 和之(早稲田大学高等研究所),鷲尾 方一(早稲田大学理工学術院総合研究所)
○Yushi Soeta, Yoshiaki Ito, Yutaro Saito, Yuji Hosaka (Waseda Research Institute for Science and Engineering), Kazuyuki Sakaue (Waseda Institute for Advanced Study), Masakazu Washio (Waseda Research Institute for Science and Engineering)
 
早稲田大学では、放射線化学反応を解明するための実験としてパルスラジオリシス実験を行っている。本実験ではパルス電子ビームによって対象となる試料の反応を引き起こし、試料の光吸収を調べることで反応の初期生成物の挙動を解明することができる。現在、我々はこのパルスラジオリシス実験における光吸収測定に用いる広帯域Super Continuum光(SC光)の改良にあたっている。SC光とは非線形光学効果によりスペクトルの広がった光であり、短パルスかつ広帯域な光を必要とするピコ秒パルスラジオリシスにおいて非常に有用である。我々は強い非線形光学効果を引き起こすためにPhotonic Crystal Fiber(PCF)と呼ばれるファイバにピコ秒パルスレーザーを入射しているが、現状のSC光は短波長側における安定度が不十分なので、十分な精度を持ったシステムを構築できていない。そこで我々はより強い非線形光学効果を引き起こすことができるフェムト秒のレーザーシステムを導入することを考えた。フェムト秒レーザーとしては高安定なYbファイバレーザーを、その増幅方法としてChirped Pulse Amplification(CPA)を採用した。これにより現状出力200mW,パルス幅300fs(FWHM)のフェムト秒レーザーが生成でき、これをPCFに入射することで850nm〜1100nmまでスペクトルの広がった広帯域光が生成されることを確認した。本講演では我々の構築したYbファイバレーザーシステムの現状と今後の展望について報告する。