THP042  加速器技術/粒子源  8月6日 小ホール 13:00 - 15:00
NEA-GaAs型電子源における表面近傍のエネルギー状態の考察
Study of Energy State of Near Surface of the NEA-GaAs type Photocathode
 
○宮内 智寛(名古屋大学大学院 工学研究科),山本 尚人,金 秀光(高エネルギー加速器研究機構 KEK),保坂 将人,真野 篤志,高嶋 圭史(名古屋大学 シンクロトロン光研究センター),加藤 政博(分子科学研究所 UVSOR)
○Tomohiro Miyauchi (Nafoya University Graduate School of Engineering), Naoto Yamamoto, Syuukou Kin (High Energy Accelerator Research Organization KEK), Masato Hosaka, Atushi Mano, Yoshihumi Takashima (Nagoya University Synchrotron radiation Research center), Masahiro Katou (Institute for Molecular Science UVSOR)
 
我々は、次世代加速器への応用を目指して、GaAs系半導体を用いたスピン偏極電子源の開発を行っている。スピン偏極電子源の開発では、90%以上の高い偏極度を維持しつつ量効率を向上させることが目標の一つである。 近年、歪補償型超格子構造を用いることで従来の数倍の厚さの活性層を持つ電子源の作成が可能となり、スピン偏極度92%・量子効率1.6%を同一の電子源フォトカソードで達成している。スピン偏極度を維持しつつ量子効率を向上させるために、超格子層の膜厚を増加させる手段は非常に有用で、現在は膜厚とスピン偏極度及び量子効率の関係性の解明に至っている。 一方で、量子効率はNEA表面の状態にも大きく依存するが、NEA表面は製膜条件や製膜後の真空中において残留ガスなどの影響により劣化していく。現在、NEA型電子源の界面エネルギー状態が解明されておらず、NEA表面の状態を定量的に評価できていない。 本研究では、最大 4.2 MV/mの電界を印加できる電子銃を用いて、印加電界と量子効率の関係性を調べた。また、NEA型電子源と真空の界面に存在するとされるエネルギー障壁の形状を仮定し、電子の透過率を計算することで、実験結果を再現することに成功した。 本発表では、実験結果を再現する具体的な表面近傍のエネルギー状態や、ショットキー効果の影響を除いたNEA表面の定量評価について提案する。