THP011  ハドロン加速器  8月6日 小ホール 13:00 - 15:00
J-PARC RCS入射部の放射化と残留線量測定
Residual dose measurement and activation of the injection area in the J-PARC RCS
 
○吉本 政弘,竹田 修,山本 風海,原田 寛之,サハ プラナブ,岡部 晃大,金正 倫計(原子力機構),山川 恵美(ロイヤル・ホロウェイ(ロンドン大学))
○Masahiro Yoshimoto, Osamu Takeda, Kazami Yamamoto, Hiroyuki Harada, Pranab Saha, Kota Okabe, Michikazu Kinsho (JAEA), Emi Yamakawa (RHUL)
 
J-PARCリニアックでは2013年度に181MeVから400MeVへのエネルギー増強、2014年度に30mAから50mAへのピーク電流増強を実施した。これに伴いRCS(Rapid Cycling Synchrotron)でも大強度ビーム試験を実施し、2015年1月10日に設計ビーム強度である1MW相当のビーム出力を達成した。RCSにおける1MW出力の実現に向けた課題の一つがビームロスの低減であった。これまでの大強度ビーム試験を経て、RCSにおけるビームロスの原因特定とその対策を繰り返すことで、荷電変換フォイル散乱に起因するビームロス以外はほぼ全て抑制することが出来た。 RCSにおいて、荷電変換フォイルとビームとの相互作用は避けようがなく、そのため入射部フォイル周辺の残留線量が最も高くなっている。これまでの詳細な残留線量の分布測定とPHITSによるシミュレーション結果から荷電変換フォイルからの2次粒子(陽子及び中性子)がフォイル周辺の放射化の主な原因であることが分かった。また、リニアックから入射されたH-粒子が荷電変換フォイルに到達する前に残留ガス等によりH0粒子に変換されたことによるビームロスも局所的に強い放射化を生じさせる原因であることも明らかになった。本発表では、残留線量の詳細な分布測定とシミュレーション結果から、RCS入射部における放射化の状況と原因について報告する。