SUP112  ポスターセッション2  8月4日 豊田講堂2階ロビー 13:00 - 15:00
SPring-8蓄積リング直線部における発生放射線線量
Radiation doses produced at the straight sections in the storage ring of SPring-8
 
○成山 展照((公財)高輝度光科学研究センター)
○Nobuteru Nariyama (JASRI)
 
蓄積リング直線部では、ガス制動X線発生の他にラティスに起因した電子損失が起きる。前者は、非常に前方に偏った放出がなされるため、安全上ビーム軸上に鉛遮蔽を配置し対応しているが、フロントエンドにはアブソーバーなど散乱体となるコンポーネントが配置されており、これによる散乱線を遮蔽するため後方に鉛コリメータが設置されている。今回、このコリメータによる遮蔽効果をモンテカルロコードにより計算した。後者の電子損失では、高エネルギーX線と中性子が発生する。中性子は比較的等方に放出されるため、測定により損失位置の特定が容易である。今回、ガンマ線に対してほとんど感度を有しないプラスチック飛跡検出器CR-39を蓄積リング内全周26箇所に設置し、中性子線量測定を行った。その結果、シンクロトロンからの電子入射部に加えて、挿入光源ID07及びID19の長直線部において有意な線量値が得られた。そこで、両IDの全長10箇所にCR-39をセットし再度照射、測定したところ、ID中央より両端にいくほど線量が高くなる対称形になることがわかった。ID前後において同程度、損失発生が起きていることを示唆している。この時の線量率は毎時10マイクロSv程度であり、放射光による線量率4Gy/hより桁違いに小さい。