SUP097  ポスターセッション2  8月4日 豊田講堂2階ロビー 13:00 - 15:00
SuperKEKB用ビームダクトの窒化チタンコーティング及びベーキング
TiN coating and pre-baking of beam ducts for SuperKEKB
 
○柴田 恭,白井 満,久松 広美,末次 祐介,金澤 健一,石橋 拓弥,照井 真司(高エネ研)
○Kyo Shibata, Mitsuru Shirai, Hiromi Hisamatsu, Yusuke Suetsugu, Ken-ichi Kanazawa, Takuya Ishibashi, Shinji Terui (KEK)
 
現在建設が進められているSuperKEKB加速器においては、周長約3 kmの陽電子リングのほぼ全てと電子リングの一部のビームダクトが新しいものに交換される。新たに製造されるビームダクトはアルミ合金または銅製であり、本数は約1200本、長さはほとんどが2〜5 mである。SuperKEKBでは、ビームダクト内部を-7乗台Paの超高真空にすることが求められており、ダクトには加速器に設置される前にベーキングによる脱ガス処理が施される。ベーキング温度は150℃、時間は約24時間であり、目標到達圧力は1E-7 Pa未満である。更に陽電子リングにおいては、電子雲不安定性によるビームの劣化を防ぐために、ダクト内面に窒化チタン(TiN)コーティングを施し、ダクト内面の2次電子放出率を低減させる必要がある。コーティングは、ダクト中心軸上にチタン陰極を設置し、アルゴン及び窒素雰囲気中でマグネトロン放電を起こすことで行われる(DCマグネトロンスパッタリング)。陽電子リング用ビームダクトには、厚さ200 nmのTiNコーティングが施され、その後にベーキングが行われる。2年間で約1200本のビームダクトを処理するために、KEKつくばキャンパス内に、4台のベーキング装置と7台のコーティング装置が設置され、2012年4月から運転が開始された。本格的な作業は2012年9月から行われており、2013年5月末までに659本のビームダクトの処理が完了している。会場では、各装置や作業内容について詳しく報告する。