SUP077  ポスターセッション2  8月4日 豊田講堂2階ロビー 13:00 - 15:00
HTc-SQUIDビーム電流モニターにおける磁気シールドの強化
Reinforcement of Magnetic Shield for High-Tc SQUID Beam Current Monitor
 
○渡邉 環,福西 暢尚,加瀬 昌之,上垣外 修一(理研),稲森 聡,今 康一(ティーイーピー株式会社)
○Tamaki Watanabe, Nobuhisa Fukunishi, Masayuki Kase, Osamu Kamigaito (RIKEN), Satoru Inamori, Kouichi Kon (TEP Corporation)
 
理研仁科加速器研究センターにおいて、重イオンビームのDC電流を、非破壊で高感度に測定するために、脳磁や心磁の測定に利用される超伝導量子干渉素子SQUID (Superconducting Quantum Interference Device)を応用した、ビーム電流モニターの開発を行ってきた。特に、今年秋からの実用運転を目指して、磁気シールドの大幅な強化を行った。ビーム電流の測定分解能は、信号対雑音比で決まるので、電磁石を励磁している大出力の電源ラインが発生する、磁気ノイズのシールドを強化する事により、測定分解能の向上を図った。一つは、超伝導体による完全反磁性と強磁性体による磁気遮蔽の特性を活かしたハイブリッド磁気シールドの開発である。HTc-SQUIDは、強磁性体であるミューメタル材によって製作された冷却フォルダー内に、ほぼ完全に覆われるように収められた。さらに、HTc-SQUIDは高温超伝導電流センサー上に設置されているため、マイスナー効果により高い磁気シールド効果が得られる。このシールドの設計には、有限要素法を用いた、電磁場計算プログラムTOSCAを用いた。さらに、三軸のフラットゲートセンサーにより、磁気ノイズを測定し、三軸のフィードバックコイルを用いて、磁気ノイズをキャンセルする方式を加えている。磁気ノイズを周波数領域で分析すると、50 Hz成分が最も強いが、これらの磁気シールドの強化により、約100億分の1まで磁気ノイズを減衰させる事に成功した。