SUP065  ポスターセッション2  8月4日 豊田講堂2階ロビー 13:00 - 15:00
ビームスクレーパによる蓄積リング直線部のビームサイズ測定の試み
Beam size measurement at SAGA-LS storage ring using a movable beam scraper
 
○金安 達夫,高林 雄一,岩崎 能尊,江田 茂(九州シンクロトロン光研究センター)
○Tatsuo Kaneyasu, Yuichi Takabayashi, Yoshitaka Iwasaki, Shigeru Koda (SAGA Light Source)
 
光源用電子蓄積リングにおいてビームサイズは重要な性能指標の一つである.本研究ではビームスクレーパを用いて,SAGA-LS電子蓄積リング直線部のビームサイズ測定を試みた.ビームスクレーパは蓄積リングの直線部LS6に設置されており,四本の円筒ロッドを用いて水平・垂直方向のアパーチャーを制限することができる.電子ビームの量子寿命はビームサイズとアパーチャーサイズに依存するため,量子寿命が制限される領域までロッドを挿入すれば,ビーム寿命の減衰曲線からビームサイズに関する情報が得られる.測定はタウシェック効果が無視できる低ビーム電流で行い,量子寿命とガス散乱寿命の寄与を考慮してビーム寿命の減衰曲線を解析した.測定の結果,水平方向ビームサイズは蓄積リングの設計値と概ね一致したが,垂直方向ビームサイズは設計値より20-30%程度小さな値となった.垂直方向ビームサイズの測定で差異が大きい要因については,解析手法と測定条件の両面から検討を続けている.また本手法ではガス散乱寿命の解析を通じて,無負荷に近い状態での蓄積リングの残留ガス種と平均圧力についても情報が得られる.蓄積リング真空に関しても圧力測定やガス種測定との比較検討を進めている.