SUP048  ポスターセッション2  8月4日 豊田講堂1階アトリウム 13:00 - 15:00
J-PARC SDTL空洞内マルチパクタ対策
Countermeasure of the Multipactor at SDTL Cavity in J-PARC Linac
 
○伊藤 崇,平野 耕一郎(日本原子力研究開発機構),杉村 高志,南茂 今朝雄(高エネルギー加速器研究機構)
○Takashi Ito, Koichiro Hirano (JAEA), Takashi Sugimura, Kesao Nanmo (KEK)
 
J-PARCリニアック部の加速空洞であるSDTLは、東日本大震災後の復旧作業の後、2011年12月からビーム加速を再開した。復旧後の運転において、SDTL05B空洞はおよそ300kW〜400kWの領域で空洞内に電力が投入できず反射のみが増加するという症状を呈した。これまでに行った原因調査及びシミュレーション結果から、この症状の原因は空洞内で発生しているマルチパクタである可能性が高いことが判明した。空洞内表面は震災後に高湿度の大気に長時間晒されたことからマルチパクタの症状が顕著に表れた可能性があり、この症状を改善させるため、2012年夏のメンテナンス期間にSDTL05B空洞内表面の不純物の成分分析を行うとともに、温水ベーキング、真空ポンプの増強とオイルフリー化などの対策、及び運転前の空洞コンディショニングを慎重に行った。この結果、マルチパクタの症状が改善し空洞に電力が入らない不具合領域が縮小した。本学会では、SDTL05B空洞の調査結果、及び不具合対策の結果について報告する。