SUP045  ポスターセッション2  8月4日 豊田講堂1階アトリウム 13:00 - 15:00
シームレス超伝導空洞の開発
Development of Seamless Superconducting RF Cavity
 
○永田 智啓,阿部 知之,魚谷 祐樹,長久保 準基,篠澤 精一,村上 裕彦((株)アルバック),田島 健(ロスアラモス国立研究所),井上 均,山中 将(高エネルギー加速器研究機構)
○Tomohiro Nagata, Noriyuki Abe, Yuuki Uotani, Junki Nagakubo, Seiichi Shinozawa, Hirohiko Murakami (ULVAC, Inc.), Tsuyoshi Tajima (LANL), Hitoshi Inoue, Masashi Yamanaka (KEK)
 
ニオブ超伝導加速空洞の製造工程において、電子ビーム溶接で空洞を作製した場合には溶接に起因して生じる欠陥やスパッタボールが加速性能に大きく影響し、これらを除去するための研磨工程まで含めると多大な時間を要する。一方、空洞本体には溶接を必要としないシームレス空洞はこのような懸念を取り除くことができ、コスト・生産性の点において改善が期待される。しかし、現状でシームレスパイプを空洞に加工する際に加わる大きな変形に耐え得る材料設計指針については未だ報告例が少ない。 今回我々はシームレス空洞製造工程である液圧成形の際に生じる結晶組織変化を評価し、アイリス部では結晶組織がパイプ長手方向に対してbcc構造のすべり面である(110)方位に伸長していることや赤道部の変形では結晶方位が傾いていく様子が観察された。一連の成形・評価において、シームレスパイプの結晶粒径分布やパイプ肉厚の精密な制御が重要であるということを示唆する結果が得られている。また、シームレスパイプの結晶粒径制御を行うための基礎特性評価として加工度曲線(数値化された加工具合に対する硬度)の測定を行い、低純度ニオブでは低い加工度で加工限界を迎えるのに対し、高純度ニオブでは転位がからみにくいことに起因して非常に高い加工度まで加工硬化を起こさないことがわかり、パイプ製造時にいかに強い加工を加えられるかが結晶粒径均一化の重要なポイントであることが示された。