SUP030  ポスターセッション2  8月4日 豊田講堂1階アトリウム 13:00 - 15:00
透過光型スピン偏極電子源を用いた逆光電子分光装置の開発
Development of Transmission-type Polarized Electron Source for Inverse Photoemission Spectroscopy
 
○梶浦 陽平,稲垣 利樹(名大院工),山本 尚人,保坂 将人,真野 篤志,高嶋 圭史(名大 シンクロトロン光研究センター),許斐 太郎,加藤 政博(分子研科学研究所 極端紫外光施設)
○Yohei Kajiura, Toshiki Inagaki (Nagoya University), Naoto Yamamoto, Masahito Hosaka, Atsusi Mano, Yoshifumi Takashima (NUSR,Nagoya University), Taro Konomi, Masahiro Katoh (UVSOR,IMS)
 
負の電子親和性を持ったGaAs型半導体(NEA-GaAs) スピン偏極電子源は、高いスピン偏極度と輝度を兼ね備えた電子ビームを生成できるという特徴を持つ。この電子源開発において、名古屋大学では背面透過光型電子源を開発し、スピン偏極度90%、輝度1.3×107(A/cm2sr)を達成している。我々はUVSORの光電子分光グループと協力して、本電子源を逆光電子分光に応用することを検討している。NEA-GaAs型電子源を用いることで、従来の逆光電子分光装置で技術開発の限界となっているエネルギー分解能(数百meV程度)を50meV以下に抑えることが期待されるからである。また、スピン偏極を用いることでスピン分解逆光電子分光も可能になるという利点もある。この目的のため我々はまず、スピン偏極電子源から生成した電子ビームを逆光電子分光装置に導くための電子ビーム光学輸送系の設計を始めた。現在、磁場と電場を同時に用いる事で、Wien-Filterの機能を持った電子ビーム偏向器の設計を行っている。これによってビーム偏向する際にスピンの向きを任意に走査できるようになる。そのための磁場設計を3次元磁場計算コードradiaを用いて行った。また、ビーム輸送系全体におけるスピン減偏極をThomas-BMT方程式から見積もった。本発表では設計中の電子ビーム光学輸送系について詳細を報告する。