SUP008  ポスターセッション2  8月4日 豊田講堂1階アトリウム 13:00 - 15:00
フォトカソード高周波電子銃による極短バンチ生成実験
Ultra-short electron bunch generation by a photocathode rf gun
 
○水柿 将貴,小柴 裕也,坂上 和之,鷲尾 方一(早大理工研),高富 俊和,浦川 順治(高エネ研),黒田 隆之助(産総研)
○Masataka Mizugaki, Yuya Koshiba, Kazuyuki Sakaue, Masakazu Washio (RISE), Toshikazu Takatomi, Junji Urakawa (KEK), Ryunosuke Kuroda (AIST)
 
早稲田大学鷲尾研究室では高品質ビーム科学をテーマにこれまで1.6セルのフォトカソード電子銃を用いて様々な研究を行なってきた。この電子銃ではUVパルスを短くしても空間電荷効果により1psより短いバンチ長は望めなかった。極短バンチ電子ビームが得られれば、パルスラジオリシスの時間分解能向上や高輝度テラヘルツ波光源への応用等が可能となる。この度バンチ圧縮に特化した電子銃(ECC-RF-Gun)の開発を行い、当加速器システムに組み込むに至った。ECC-RF-Gunは従来の加速空胴にバンチ圧縮を行うためにエネルギーを線形にチャープするセルを付属した構造になっており、このセルをEnergy Chirping Cell(ECC)と呼んでいる。ECCを通過した電子バンチは線形に速度変調を受け、時間とともに圧縮されてゆく。空胴設計にはSUPERFISHとPARMELAを用い、カソードから約3mの地点でバンチ長が200fs(rms)程度に圧縮されることをシミュレーション上で確認している。我々は既にこのような極短バンチから放射されるテラヘルツ帯の放射光をショットキーダイオード検波器で測定した。放射光強度がバンチ内の電子数の2乗に比例していることからコヒーレント放射であることを確認するとともに、0.2THz帯における検出にも成功した。これは従来の1.6セル電子銃では得られない周波数領域であり、バンチが確かに圧縮されていることを示している。本講演では放射光測定実験結果及び今後の展望について発表する。