SUP005  ポスターセッション2  8月4日 豊田講堂1階アトリウム 13:00 - 15:00
SACLAにおける線形加速器模型に基づく電子ビーム軌道の自動補正
Orbit correction of the electron beam using the linear accelerator model at SACLA
 
○長谷川 太一,田尻 泰之(スプリングエイトサービス(株)),渡川 和晃,原 徹,田中 均(理研 放射光科学総合研究センター)
○Taichi Hasegawa, Yasuyuki Tajiri (SPring-8 Service Co., Ltd.), Kazuaki Togawa, Toru Hara, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center)
 
X線自由電子レーザー施設SACLAでは、2012年3月よりユーザー利用実験の為の24時間連続運転が開始されている。XFEL光を安定に供給する為には、電子ビーム軌道の安定化は極めて重要な課題である。アンジュレータの入射軌道は、地磁気遮蔽を施した直前の7.8 m長ドリフト空間の上下流にある二台のビーム位置モニタ(BPM)を用いて位置と角度を測定し、これらが最適な目標値に固定されるよう、ステアリング電磁石により自動補正を行っている。さらに今回、長期的にXFEL光を安定化させる為に、加速器全体にわたるビーム軌道の自動補正プログラムの開発を行った。 SACLAでは、蓄積リングにおいて確立された電子ビームの線形転送行列を、エネルギーが変化する線形加速器にも適用できるように、その拡張を行っている。加速器部の軌道補正は、加速器全体にわたる基準軌道からの偏差をBPMで測定し、偏差を平均的に最小にする多変数の線形最小二乗問題として解くことにより、最適なステアリング電磁石を選んで軌道補正を行う。このとき各セクションに設置されたステアリング電磁石の応答感度は、SACLAで開発した線形加速模型から計算する。応答関数は加速管のRF位相に依存するため、パラメータデータベースを介して常に正しい応答関数が利用できるようにした。 本学会では、SACLA加速器のビーム軌道自動補正プログラムの開発と運用について報告する。