SUOTS1  特別講演  8月4日 豊田講堂ホール 16:20 - 16:50
リニアコライダー計画(ILC)- 物理学の挑戦 -
Linear Collider Projects: A Challenge of Physics
 
○竹下 徹(信州大学理学部)
○Tohru Takeshita (Shinshu University, Faculty of Science)
 
素粒子物理は今大きな転換期(革命と呼ぶ人もいるくらいの)にあります。それは昨年以来のCERNの陽子衝突型加速器LHCによるHiggs粒子の発見に端を発しています。素粒子物理学の標準理論はHiggs粒子の発見により完成しました。また同時に標準理論を超える理論は、一体何かという新しい時代に突入しました。 この講演ではHiggs発見とその状況をまとめ、ILCが標準理論を超える理論 に与えるインパクトについて言及します。陽子陽子衝突型加速は最高エネルギー衝突を起こす事が可能ですが、各事象の衝突は全エネルギーが不定で重心系でもなく、また膨大なバックグラウンドを伴う実験であり、物理実験結果に大きな不定性があります。一方ILCは重心系エネルギーが大きくはないが一定で、素粒子物理学上の理論を決定するための精密測定では大きな利点があり、Higgs粒子の細かな崩壊過程や結合定数の測定ですぐれています。LHC実験とILCに於ける実験ではどの程度違いがあるかを議論します。 発見されたHiggs粒子は標準理論の予言するものに大変近く、標準理論を超える理論との差は小さいため、精密測定が重要と考えられています。これらを明らかにする上で、偏極の重要性についても言及します。