SUOT03  ハドロン加速器2  8月4日 豊田講堂ホール 10:50 - 11:10
ハドロンシンクロトロン内動的バンプ形成による遅い取り出し時ビーム位置制御
Beam axis control during slow extraction by dynamic bump in hadron synchrotron
 
○鳥飼 幸太,山田 聰,金井 達明,想田 光,遊佐 顕,田代 睦,久保田 佳樹,松村 彰彦,齋藤 明登,島田 博文(群馬大学重粒子線医学研究センター),竹下 英里(神奈川県立がんセンター),中野 隆史(群馬大学重粒子線医学研究センター)
○Kota Torikai, Satoru Yamada, Tatsuaki Kanai, Hikaru Souda, Ken Yusa, Mutsumi Tashiro, Yoshiki Kubota, Akihiko Matsumura, Akito Saitoh, Hirofumi Shimada, Eri Takeshita (GHMC), Takashi Nakano (KCCH)
 
ハドロンシンクロトロンは粒子線治療で利用され、遅い取り出し法が用いられる。電磁石の磁気飽和、出射時ビームエネルギー変化等により、取り出し開始から終了までの間に出射ビーム軸が変動する。ビーム軸変動は治療における照射野均一性を悪化させるため、これを抑制することが望ましい。そこで、シンクロトロン運転パターンにビーム軸変動を抑制する、時間的に変動するバンプ軌道を発生させることによる軸変動の抑制を試みた。方法として、出射セプタム電磁石位置に出射位置、出射角の変化をもたらすバンプ軌道をシンクロトロン内ステアリング電磁石を用いて生成する手法を採用した。補正量の算出には出射ビームラインでの複数モニタからTransfer Matrixを用いて演算する手法を用いた。本手法により、群馬大学重粒子線シンクロトロンにおいて、ビーム軸の時間的変動は補正前±3.8mmであったものが±0.6mm程度まで抑制された。本手法によって重畳されるバンプ軌道はビーム非出射時にも発生しているが、380MeV/uにおいて重畳によるビーム漏れは観測されなかった。本手法では取り出しビームラインにおける磁石及びモニタのアライメントエラーが動的補正量誤差を発生させる要因となっているため、これらアライメントエラーを取り込む手法についても検討を行う。