SAP096  ポスターセッション1  8月3日 豊田講堂2階ロビー 13:00 - 15:00
縦方向Bunch-by-Bunchフィードバック用高効率エネルギーキッカーの開発
Development of a Highly-Efficient Energy Kicker for Longitudinal Bunch-by-Bunch Feedback
 
○正木 満博,中村 剛,小林 和生,藤田 貴弘,大石 真也,小路 正純,佐々木 茂樹,大熊 春夫((公財)高輝度光科学研究センター)
○Mitsuhiro Masaki, Takeshi Nakamura, Kazuo Kobayashi, Takahiro Fujita, Masaya Ohishi, Masazumi Shoji, Shigeki Sasaki, Haruo Ohkuma (JASRI/SPring-8)
 
現在SPring-8蓄積リングの高度化の一環として進めているシングルバンチ大電流化に伴って誘発されるシンクロトロン振動の抑制や、将来の低エミッタンス化・省電力化等のために電子ビームエネルギーを下げた場合の縦方向不安定性を抑制し総蓄積電流の増強を可能にするため、数年前から縦方向Bunch-by-Bunchフィードバックの検討を進め、高効率エネルギーキッカーを開発している。これまでに、プロトタイプ機の設計・製作、オフラインでの性能試験などを実施してきた。2012年度に、このプロトタイプ機のデザインに改良を加えて発熱対策などを講じた水冷式銅製キッカーを実用機として製作し、高周波特性試験等を経て蓄積リングに設置した。このキッカーは3セル構成となっており、各セルの空洞長は96 mm、駆動周波数はRF基準周波数の3.25倍の1.65 GHz、Q値は4程度である。ビームキック試験では、キック電圧をシンクロトロン振動数でCW変調することにより共鳴を利用してビームに縦方向の強制振動を与えた。入力したパワーが132 W/3cellsのときに励起された時間方向のビーム振幅は0.64 psであり、ここから算出したキック電圧は920 V/3cellsであった。シャントインピーダンスは、設計通りのキッカー1セル当たり1.1 kΩとなり、広く使われているwaveguide overloaded cavity型キッカーと比較して1セルの長さが半分以下であるので、単位長さ当たり換算では意図した通り3倍近い高効率となっている。