SAP064  ポスターセッション1  8月3日 豊田講堂2階ロビー 13:00 - 15:00
PWM制御を用いた高電圧充電器の開発
Developments of high voltage power supply using PWM control
 
○近藤 力,稲垣 隆宏,大竹 雄次(理研 放射光科学総合研究センター)
○Chikara Kondo, Takahiro Inagaki, Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center)
 
SACLAでは、将来に電子ビームを複数ビームラインへ高速振り分けし、複数ユーザーによるXFEL実験を目指している。この時、個々のユーザーにおけるパルス数の減少を、ビーム運転の高繰り返し化によって補う事を考えており、それに向けた高電圧充電器の高繰り返し化を目指している。この充電器は現電源と同様に主充電と補充電を用いた構成とし、50kVの充電電圧に対し電圧変動が全幅で5V以内という、現電源の高い電圧安定性を保ちつつ、120ppsという倍の繰り返し数での運転が可能なものとする。これには充電能力を増強させるだけでなく、充電電圧の整定時間も短縮させる必要がある。そこで、補充電のフィードバック制御にパルス幅変調(PWM)方式を用いた充電器を開発している。この方式では広帯域な周波数特性が得られ、高速な制御が可能である。このような充電器を設計し、シミュレーションでの評価と予備的な実証試験を行った。シミュレーションでは、制御系の開ループ利得には最適値があり、過大または過小であっても整定時間や安定性は悪化することが示唆された。また、充電電圧のオフセットを抑えるために通常用いられる積分制御を加えると、コンデンサ負荷に起因する位相遅れのために不安定性が生じる場合があることも分かった。これらの結果を踏まえ、実証実験によって電圧安定性を測定したところ、目標の安定性を達成可能なことを確認した。