SAP051  ポスターセッション1  8月3日 豊田講堂1階アトリウム 13:00 - 15:00
カンタル溶射空胴のRFコンディショニングと高電力特性
RF conditioning and high-power performance of a Kanthal sprayed cavity
 
○宮原 房史,荒木田 是夫,松本 修二,肥後 寿泰(KEK),東 保男(沖縄科学技術大学院大学)
○Fusashi Miyahara, Yoshio Arakida, Shuji Matsumoto, Toshiyasu Higo (KEK), Yasuo Higashi (OIST)
 
KEK電子陽電子入射器ではSuperKEKBのためのアップグレードを進めており、陽電子ビームに関しては、KEKBの4倍の4 nCのバンチ電荷とダンピングリング入射時のサテライトバンチの抑制が要求される。陽電子捕獲部は標的と直後のパルスソレノイド、これに続くDCソレノイドを備えた加速管で構成される。加速管は大口径のS-band(LAS)を採用するが、当初予定していたL-band加速管を用いる方法もLASでの陽電子高収量化に転用可能であるため研究を継続している。L-bandを用いる場合は主加速周波数(S-band)の5/11倍の周波数1.298 GHzを用いる事でサテライトバンチの抑制が可能であるが、導波管部分のソレノイド磁場の落ち込みによる収集効率低下とソレノイド径の増加でコスト、電力、水冷要求が増す問題があるため、出力カプラー部を通常のセル構造にカンタル(Fe-Al-Cr合金)を溶射したコリニアロードに置き換えた加速管を設計した。カンタル溶射セルの高電力特性を調べるため、3空胴のうち中央の空胴が設計値と同じQ値をもつ様にカンタルを溶射した定在波空胴を製作し、進行波管と同等の加速電場となる入力電力で試験を行った。コンディショニング過程と真空挙動、暗電流の変化等を印加するソレノイド磁場との関係も含め報告する。ガス放出特性に難があるが、設計加速電界での運転は可能であろうとの結論を得た。