SAP030  ポスターセッション1  8月3日 豊田講堂1階アトリウム 13:00 - 15:00
SACLAにおけるコヒーレント遷移放射光を利用したマイクロバンチング不安定性の特性評価
Evaluation of microbunching instability using coherent optical transition radiation at SACLA
 
○渡川 和晃,原 徹,田中 均(理研 放射光科学総合研究センター),松原 伸一(高輝度光科学研究センター)
○Kazuaki Togawa, Toru Hara, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center), Shinichi Matsubara (JASRI)
 
X線自由電子レーザー施設SACLAでは、XFEL光を生成する為に、複数の電子バンチ圧縮装置を使ってピーク電流が3 kA以上の高密度電子ビームを作り出している。SACLAでは、最終バンチ圧縮の段階でバンチの内部に可視光波長程度の密度変調(マイクロバンチ)が急成長し、これが原因でビームプロファイル測定の際に強力なコヒーレント遷移放射光(COTR)が発生して、正確なプロファイル測定に困難をもたらしている。COTRの発生はマイクロバンチング不安定性現象の一部であるが、マイクロバンチの発生機構を物理的に解明することは非常に重要で、世界的にも精力的に研究がなされている。今回、このマイクロバンチの特性を評価する為に、四極電磁石を使ってマイクロバンチを消滅させる実験を行った。四極電磁石は、マイクロバンチが急激に成長する最終バンチ圧縮器の分散部に設置した。これを励磁することで、バンチ圧縮器の行路長に水平位置および角度に応じた変化を与えられるので、マイクロバンチを拡散消滅することができると考えた。実験を行った結果、四極電磁石を励磁するとCOTRの強度は減衰し、その時の条件で計算したマイクロバンチの平均的な拡散距離がCOTRの波長と一致することを確認した。本学会では、SACLAにおけるCOTRを利用したマイクロバンチング不安定性の特性評価について発表する予定である。