SAP019  ポスターセッション1  8月3日 豊田講堂1階アトリウム 13:00 - 15:00
超冷中性子リバンチャーの改良
The improvement of the ultracold neutrons rebuncher
 
○今城 想平(京大理),岩下 芳久(京大化研),北口 雅暁,清水 裕彦(名大理),有本 靖(KEK),吉岡 瑞樹(九大理),関 義親(理研)
○Sohei Imajo (Dep. of Phys., Kyoto Univ.), Yoshihisa Iwashita (ICR, Kyoto Univ.), Masaaki Kitaguchi, Hirohiko M. Shimizu (Dep. of Phys., Nagoya Univ.), Yasushi Arimoto (KEK), Tamaki Yoshioka (Dep. of Phys., Kyushu Univ.), Yoshichika Seki (RIKEN)
 
我々は J-PARC において中性子の電気双極子能率 (EDM) を測定する実験を計画し、その実現に向けて各種装置の R&D を進めている。その一つとして我々は中性子の運動エネルギーを微調する装置「超冷中性子リバンチャー」を開発した。中性子の EDM 実験は 200 neV 程度に減速させた超冷中性子 (UCN) を実験容器まで輸送し、封入して行うのが一般的だが、J-PARC のビームを用いた UCN 源はパルス駆動となるため何もしなければ輸送中に UCN がそれ自身の速度分布に従って拡散し、パルス UCN 源の高いピーク強度を実験容器中の統計量に十分に反映させることができない。そこで我々の計画では本装置を用いて実験容器地点に UCN を時間的に集束させることでその問題を解決する。本装置は UCN のスピンが磁場勾配から力を受けることを利用し、適切なタイミングで磁場中の UCN のスピンをスピンフリッパーによって反転させ、磁場通過前後での UCN の運動エネルギー収支を 100 neV 程度の範囲でコントロールすることを動作原理としている。本装置の原理実証は 2011 年 11 月にすでに成功しているが、その際は装置を構成する各部品のスペックが足りず、UCN の十分な集束がなされなかった。そこで我々は原理実証機を基にして各部のスペックを向上させたアップグレード機を作成し、集束性能の向上に向けて現在装置の調整を行っている。