SAP018  ポスターセッション1  8月3日 豊田講堂1階アトリウム 13:00 - 15:00
インコヒーレントチューンスプレッド測定にむけた高周波二極磁場エキサイタの開発
Development of the magnetic dipole exciter for the incoherent tune spread measurement
 
○加藤 新一(東北大学大学院理学研究科),原田 寛之,發知 英明,岡部 晃大,大森 千広,田村 文彦,金正 倫計(J-PARCセンター)
○Shinichi Kato (Tohoku University), Hiroyuki Harada, Hideaki Hotchi, Kota Okabe, Chihiro Ohmori, Fumihiko Tamura, Michikazu Kinsho (J-PARC Center)
 
大強度陽子加速器では、空間電荷力によって、個々の粒子のチューン、すなわちインコヒーレントチューンが減少する。また、個々の粒子の受ける反発力は違うため、インコヒーレントチューンは広がる。これはチューンスプレッドと呼ばれる。インコヒーレントチューンが共鳴条件を満たすと、ビームエミッタンスの増加やビームロスなどが発生するため、チューンスプレッドを把握し操作しなければ、ビーム強度を上げることが出来ない。このためには、チューンスプレッドを直接観測出来ることが望まれる。そのため、J-PARC 3GeV synchrotron (RCS)においてチューンスプレッドの観測手法の確立を目指している。 多粒子シミュレーションより、数百kHz〜1 MHz程度の単色周波数を持ち、約100 uradの蹴り角を与える二極エキサイタを用いると、エキサイタ周波数に同期したインコヒーレントチューンを持つ粒子が一時的に共鳴し、粒子分布が変化することが分かった。この周波数に対する粒子分布の変化から、チューンスプレッドを観測できる可能性がある。しかし、RCSはアパーチャーが大きく、電場を用いた場合、数 MWの電源が必要となる。そこで、電源の負荷を低減するために、磁場を用いた高周波二極エキサイタを新規に開発することとした。 本講演では、RCSでのチューンスプレッド測定計画の概要と、二極磁場エキサイタに用いる磁性体コアの測定結果を紹介する。