SAOT11  光源加速器1  8月3日 豊田講堂ホール 18:40 - 19:00
極短周期アンジュレータの開発
Development of very short period undulators
 
○山本 樹(高エネルギー加速器研究機構・放射光)
○Shigeru Yamamoto (KEK-PF)
 
アンジュレータ放射の高エネルギー化を目指して,アンジュレータ周期長の“極短周期化”のための研究開発を行っている。ここで,“極短周期化”とはこれまで数cmであったアンジュレータの磁場周期長を約1/10に圧縮することを意味する。具体的には,周期長4mmの磁気回路作成を目標にしている。幅20mm x 厚さ2mm x 長さ100mmの板状の磁石素材に,着磁用電磁石(着磁コイル)をパルス的に励磁することによって,周期長4mmの周期的交番磁場を書き込む。周期長4mmを選んだ理由は,この周期長を達成できれば,PF2.5GeVリングおいて基本波で12keV(波長1Å)領域の放射を生成することができるからである。 これまで,着磁コイルの最適化を行い着磁強度および精度の向上を図ってきた。方式の詳細と成果について報告する。 本研究で開発する極短周期アンジュレータは,当然ながら通常周期アンジュレータの約1/10という非常に狭いギャップ条件において運転される。このようなギャップ条件を受け入れることができる加速器の検討の重要性について注意を喚起したい。そのような加速器の設計には多くの困難も予想されるが,光源加速器におけるアンジュレータ全長が(極短周期であるために)大いに短縮されることによって得られる自由度が,設計に大きな柔軟性を与えるものと期待する。