SAOT06  電子加速器1  8月3日 豊田講堂ホール 16:50 - 17:10
小型電子線形加速器を用いた超高エネルギー宇宙線望遠鏡の絶対エネルギー較正
Absolute energy calibration of Ultra-high energy cosmic Fluorescence Telescope with an small electron linear accelerator
 
○芝田 達伸,福島 正己,佐川 宏行(東大宇宙線研),Cheon Byung,Shin Bokkyun(Hanyang University),Matthews John,Thomson Gordon,Karen Langely,Beitollahi Masoud(University of Utah)
○Tatsunobu Shibata, Masaki Fukushima, Hiroyuki Sagawa (ICRR), Byung Cheon, Bokkyun Shin (Hanyang University), John Matthews, Gordon Thomson, Langely Karen, Masoud Beitollahi (University of Utah)
 
宇宙から地球に降り注ぐ粒子線や電磁波の総称を宇宙線と呼ぶ。現在観測されている最も高い粒子線のエネルギーは10の20乗を超え、特に超高エネルギー宇宙線(Ultra-high Energy Cosmic Rays;UHECR)と呼ぶ。UHECRsの重要な観測量はエネルギーの精密測定であるが測定精度は約20%と大きいため実験によってエネルギースケールに大きな差が生じている。テレスコープアレイ(TA)は大気蛍光望遠鏡(Fluorescence Detector;FD)とプラスチックシンチレーションカウンターの2種の検出器を用いた北半球で最大のUHECRs観測実験である。TA実験ではエネルギー決定精度の向上を目的に独自に開発した小型電子線形加速器(通称Electron Light Source;ELS)を用いて絶対エネルギーの較正を行っている。即ちFDから視野方向に100mの距離に設置されたELSから空中に40MeV電子ビーム(1パルス当たりの電子数は10の9乗個)を射出し、電子によって空気中で発生する大気シンチレーション光を直接FDで観測する。そしてFDがUHECRsを観測する時に必要なパラメータの内大気中での減衰係数以外を一括して較正する。ELSは2011年11月以降は定期的に較正用の射出を行いデータを蓄積した。また最重要課題として1パルス当たりの電子数の測定であり、電子数測定精度の向上を常に求めてきた。今回の発表では最終版FCによる電荷量測定精度の向上と、エネルギー較正の結果について初めて報告する。