SAOT03  電子加速器1  8月3日 豊田講堂ホール 15:50 - 16:10
SACLA線形加速器における進行波加速管のビーム輸送模型の修正
Modification of the beam transfer model of travelling wave accelerator structures at SACLA
 
○田尻 泰之(スプリングエイトサービス(株)),渡川 和晃,原 徹,前坂 比呂和(理研 放射光科学総合研究センター),長谷川 太一(スプリングエイトサービス(株)),田中 均(理研 放射光科学総合研究センター)
○Yasuyuki Tajiri (SPring-8 Service Co., Ltd.), Kazuaki Togawa, Toru Hara, Hirokazu Maesaka (RIKEN SPring-8 Center), Taichi Hasegawa (SPring-8 Service Co., Ltd.), Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center)
 
X線自由電子レーザー施設SACLAでは、X線レーザー出力最適化のためのビーム調整を効率よく行うため、電子ビームの軌道やエンベロープ等を、電子銃からアンジュレータ出口まで計算し予測する線形加速器模型の開発を行ってきた。 線形加速器模型は、蓄積リングで確立された線形転送行列をベースに構築している。進行波加速管は蓄積リングでは存在しないため、エネルギー変化を含むsymplectic転送行列を変数変換を用いて定義し、加速器端部の収束効果を薄肉近似して取り入れることで加速管をモデル化し、計算に使用している。加速器模型は、既存のコードと比較し、良い一致が得られているが、SACLAにおける実際のビームの応答とは一致しておらず、進行波管におけるズレが大きい。そこで今回、応答関数の測定結果を用いた進行波管の転送行列の校正を試みた。加速管の端部の収束力に係数を乗じ、係数を調整することで、ビーム応答の測定結果と線形模型の計算結果をよく一致させることができた。補正係数は水平方向と垂直方向で異なり、RF位相に依存する。また、水平方向の係数と垂直方向の係数の和は一定であることから、加速管端部のカプラーセルに4極収束成分があることがわかった。現在SACLAではこの修正した模型を用いてエンベロープの制御と加速器全体のビーム軌道補正を行っている。本学会では、加速器模型の校正方法とその結果の詳細について報告を行う。