SAOS09  加速器土木/加速器応用・産業利用1  8月3日 シンポジオン会議室 18:00 - 18:20
KEKB入射器における高精度レーザーアライメントのための500m長レーザー長基線の伝送及び安定性特性
Propagation and Stability Characteristics of A 500-m-Long-Distance Laser-Based Fiducial Line for High-Precision Laser-Based Alignment at the KEKB Injector Linac
 
○諏訪田 剛,佐藤 政則(KEK加速器),寺田 聡一,美野島 薫(産総研計測標準)
○Tsuyoshi Suwada, Masanori Satoh (Accelerator Laboratory, KEK), Souichi Telada, Kaoru Minoshima (Length Standards Section, AIST)
 
KEKB入射器では,次期計画であるSuperKEKBに向けた入射器増強とその高度化が進行中である. これを受けて入射器の高精度アライメントが進行している. 現在、入射器ではビームライン後半部(全長の約1/3)を利用して放射光リングへの入射を続けているが、先の東北大地震による被害は甚大で入射器全体のアライメントは大きく変位したままである. SuperKEKBに向けて高精度レーザーアライメントシステムの開発を続けていたが、入射器の最大直線部のアライメントに必要な500m長の長基線レーザーの安定化にようやく成功した. アライメントの基準となる長基線にはHe-Neレーザー(10mW)を用いた. 長基線を高安定化させるために新たなレーザー光学系を構築し、さらに計算機制御によるフィードバックを導入することによりレーザーのポインティング安定性を飛躍的に高めることに成功した. この結果、500m直線部の終端におけるレーザーの位置安定性は、±40 μm (1σ)レベルとなり入射器に要求されるアライメント精度を十分満足できることを確認した. この位置安定性は角度安定性に焼き直すと±0.08 μrad (1σ)に相当する. 本成果は入射器のみならず次世代の長距離線形加速器にも応用可能な技術である.  本学会では、入射器のレーザーアライメントシステムの概要を述べるとともに、レーザーのポインティング安定性を高めるために実施した幾つかの工夫について報告する.