MOOTL1  技術研修会2  8月5日 豊田講堂ホール 9:00 - 10:00
加速器における電子管技術(2)
Electron Tube Technology in Accelerator(2)
 
○福田 茂樹(高エネルギー加速器研究機構)
○Shigeki Fukuda (High Energy Accelerator Research Organization)
 
引き続き、電子管で縁が切れそうもない大電力(パルス)マイクロ波を発生するクライストロンという電子管について説明する。現在使用されている大小の電子線形加速器のマイクロ波源は数10MW〜100MW以上の尖頭値を持つマイクロ波を必要とし、必然的にクライストロンが使用されている。 良く使用されているが、値段は高価であり、雑に扱うとすぐに破損してしまう。電子管であるから内部には熱電子銃が使用され、この取り扱いも慎重にしないと、寿命が短くなったり、極端な場合はフィラメントが切れてしまったりする。扱い方によって、10万時間の寿命も可能であるが、荒い取り扱いでは数百時間でダメになるものもある。又クライストロンは周波数に逆比例してサイズが大きくなり、組み立てや取扱い上も面倒となる。一大学レベルであまり使用されていない周波数帯のクライストロンなどを使用すると維持が大変である。講演者は広い範囲の周波数帯のクライストロンを扱い、また大電力クライストロンを200〜300本近く扱った経験から、その取扱いや技術的な問題に触れてみたい。 時代の流れとともに製造会社も減っており、古い電子管は代替えが効かなくなり途方に暮れる場合もある。将来的に迎えるだろうそのような時代の明るくない予想もしてみたい。