MOOT13  加速器技術(真空)/光源加速器3  8月5日 豊田講堂ホール 15:10 - 15:30
compact ERL 入射器のコミッショニング運転
Commissioning operation of the compact ERL injector
 
○宮島 司(高エネ研)
○Tsukasa Miyajima (KEK)
 
KEKでは次世代光源加速器としてエネルギー回収型線形加速器(Energy Recovery Linac)を用いた放射光源の設計が進められている。ERLでは高輝度かつ大電流の電子ビームを安定に供給するための電子銃や、超伝導加速空洞等の鍵となる開発要素があり、ERLを用いた大型の放射光源を建設する前に、これらを実証していくことが重要である。そのための実証機としてcompact ERL(cERL)加速器の建設がKEKのERL開発棟内で進められている。cERLの建設は2つの段階で進められており、その最初の段階として2013年4月にcERL入射器の建設が完了し、ビーム調整運転が4月22日から開始された。cERL 入射器はJAEAで開発された光陰極DC電子銃、バンチャー空洞、超伝導加速空洞、ビーム診断ラインによって構成される加速器であり、ERLに必要な大電荷かつ高輝度電子ビーム生成を実証することが目的である。ビームコミッショニングでは、電子銃で生成された390 keVビームを、超伝導加速空洞(2-cell, 3台)で5.6 MeVまで加速することに成功しており、2013年6月末の運転終了まで、ビーム調整法の確立、ビーム品質の測定試験、機器の安定度試験等を実施する予定である。cERL入射器運転の停止後の期間に周回部の建設を行い、2013年冬からERL全体でのビーム運転試験が予定されている。 本発表では、cERL入射器のビームコミッショニングの状況とこれまでに達成したビーム品質について紹介する。