MOOT12  加速器技術(真空)/光源加速器3  8月5日 豊田講堂ホール 14:50 - 15:10
超高真空下におけるチタン材料の光刺激ガス脱離
Photo Stimulated Desorption of Titanium Material under ultra-high vacuum
 
○山本 将博,宮島 司,本田 洋介,内山 隆司(高エネ研),栗巣 普揮(山口大),小林 正典(高エネ研)
○Masahiro Yamamoto, Tsukasa Miyajima, Yosuke Honda, Takashi Uchiyama (KEK), Hiroki Kurisu (Yamaguchi Univ.), Masanori Kobayashi (KEK)
 
KEKではERL用電子銃を開発中であるが、10^-10 Paの極高真空が必要であることから、超低ガス放出のチタン材料を適用している。当該電子銃はフォトカソードであることから、光照射しても放出ガスが少ないことが求められる。今回は、種々の表面処理したチタン材料の光照射下でのガス脱離特性(光刺激ガス脱離)を10^-8 Paの超高真空下で調べることを目的とした。 測定試料として未処理・バフ研磨処理・精密化学研磨処理したJIS2種チタンを準備した。光刺激ガス脱離の測定には、山口大学の昇温脱離ガス分析装置の試料室部を改造した光刺激ガス脱離測定装置を用いた。実験は、装置部120 ℃,試料100℃×18 hrs真空ベーキングを行った。自然冷却し1×10^-8 Paに到達させた後、Xeランプ光を照射し光刺激脱離量を四重極質量分析計で測定した。 未処理試料とバフ研磨処理したチタンの光刺激ガス脱離量は同等であった。一方、精密化学研磨処理したチタンの光刺激ガス脱量は、全てのガス種において、未処理試料よりも1/10〜1/2に低減されていることがわかった。これは、精密化学研磨処理を施すことで、吸着サイト(主に化学吸着サイト)となる表面の凹凸が低減できたことによると考えられる。以上より、光刺激ガス脱離量を低減する表面処理方法として精密化学研磨が有効であると言える。発表では、種々の表面処理したチタン材料の光刺激脱離量に対する光波長依存性の結果も報告し議論する予定である。