MOOT11  加速器技術(レーザー2/RF空洞/RF源)  8月5日 豊田講堂ホール 14:20 - 14:40
クライストロンモジュレータ用ハイパワー半導体スイッチの開発
Development of a High-Power Solid-State Switch for a Klystron Modulator
 
上司 文善,徳地 明,川瀬 啓悟,古川 和弥,加藤 龍好,藤本 將輝,大角 寛樹,矢口 雅貴,船越 壮亮,堤 亮太,末峰 昌二,○磯山 悟朗(阪大産研)
Fumiyoshi Kamitsukasa, Akira Tokuchi, Keigo Kawase, Kazuya Furukawa, Ryukou Kato, Masaki Fujimoto, Hiroki Osumi, Masaki Yaguchi, Sousuke Funakoshi, Ryouta Tsutsumi, Shoji Suemine, ○Goro Isoyama (ISIR, Osaka University)
 
我々は、阪大産研のLバンド電子ライナックを用いて自由電子レーザー(FEL)の開発研究を行っている。電子ライナックは、クライストロンで発生する高周波(RF)を加速管に蓄えて電子ビームを加速する。FELの電子ビーム源であるライナックは最大10 Hzでパルス運転をするが、FEL強度のパルス毎の変動が大きく、FELの基礎研究や利用研究の障害になっている。クライストロンに電力を供給するクライストロンモジュレータと呼ばれる電源に、高電圧、大電流スイッチとしてサイラトロンが用いられている。FEL強度の変動、即ちRFパワーの変動の主な原因は、ガス封入放電管の一種であるサイラトロンのスイッチ特性によると考えられる。そこでサイラトロンに換わる高電圧、大電流用の半導体スイッチの開発研究を行った。  使用した半導体素子は、静電誘導型サイリスタ(Static Induction Thyristor ; SI-Thy)で、単体の阻止電圧3.2 kV、ピーク電流5 kA、オン抵抗約0.1Ωのパルスパワーデバイスである。クライストロン用スイッチに要求される性能は、25 kV、5 kAで、およそ0.1Ω以下であるため、60個のSI-Thyを6並列10直列にしてスイッチを設計、製作した。続いてモジュレータへ実装して試験を行い、スイッチが10 Hzで安定に動作することを確認した。SI-Thyを用いた半導体スイッチの設計、製作と、サイラトロンと比較した性能を報告する。