MOOT07  加速器技術(レーザー2/RF空洞/RF源)  8月5日 豊田講堂ホール 13:00 - 13:20
自己位相変調を用いた中赤外FELスペクトルの広帯域化
Spectral broadening of mid-infrared FEL by self-phase modulation
 
○中嶋 隆,Wang Xiaolong,Qin Yu,全 炳俊,紀井 俊輝,大垣 英明(京大エネ研)
○Takashi Nakajima, Xiaolong Wang, Yu Qin, Heishun Zen, Toshiteru Kii, Hideaki Ohgaki (IAE, Kyoto Univ.)
 
FELは波長可変レーザーではあるが,様々な分光応用を考えると波長掃引をなるべく避けてデータを取ることができればより利便性が高まる。そこで我々は,非線形光学効果の一種である自己位相変調を応用してFELスペクトルの帯域を拡大することを試みた。この手法はチタンサファイアレーザーなどの近赤外領域(800 nm)では良く使われる手法ではあるが,チタンサファイアレーザーのパラメトリック光を光源とした中赤外(2-5μm)での報告例となると極めて少ない。さらに波長が長い,例えば今回我々が報告するような>10μm域でFELを光源とした報告例というと皆無である。  我々は,プラズマミラーを用いて時間的に数ns程度にまで切り出したKU-FELの11μmパルスをGe基板に集光照射することにより,自己位相変調を発生させ,レーザースペクトルがどれだけ広帯域化するかを調べた。プラズマミラーを用いた理由は2つある。1つめの理由は,時間分解能を上げるため,元は2μsもあるマクロパルスの時間幅をなるべく短く(現状では5ns)するためである。2つめの理由は,2μsのマクロパルスのままだとGe基板に集光照射した時,損傷が起こるためである。現状では2倍程度までの広帯域化が確認できている。