MOOT03  加速器技術(粒子源/レーザー1)  8月5日 豊田講堂ホール 10:50 - 11:10
光陰極直流電子銃から500keV-mA電子ビームの生成
Generation of a 500-keV electron beam with mA current from a photoemission DC gun
 
○西森 信行,永井 良治,松葉 俊哉,羽島 良一(原子力機構),山本 将博,宮島 司,本田 洋介,内山 隆司(高エネ研),飯島 北斗,栗木 雅夫(広島大学),桑原 真人(名古屋大学)
○Nobuyuki Nishimori, Ryoji Nagai, Shunya Matsuba, Ryoichi Hajima (JAEA), Masahiro Yamamoto, Tsukasa Miyajima, Yosuke Honda, Takashi Uchiyama (KEK), Hokuto Iijima, Masao Kuriki (Hiroshima University), Makoto Kuwahara (Nagoya University)
 
次世代ERL放射光源の電子源に対する要求は、エミッタンス0.1〜1mm-mrad電流10〜100mAの電子ビーム生成である。この低エミッタンスビーム生成には、空間電荷力抑制のため、電子銃の出射ビームエネルギー500keV以上が要求される。500kV光陰極DC電子銃が提案されて20年、運転電圧は放電問題のため350kVに留まってきた。我々は、高電圧化を目標に掲げて電子銃開発に取り組んだ。まずガードリング付き分割型セラミック管を採用し、サポートロッドからの電界放出電子に起因する放電問題を解決した。次に、電子銃真空容器と陰極間の放電により、容器面上の残留微細粉塵が帯電し、陰極に付着した後に暗電流源となる現象が問題となった。これを解決するため、陰極‐陽極のギャップ間隔を最適化し、特に真空容器表面の電界を下げる改造を行った。これにより電子ビーム生成条件下での550kV印加に初めて成功した。 500keV電子ビーム生成試験を行った。波長530nmDCレーザー光をGaAs光陰極に照射し電子ビームを生成した。レーザー径0.1mmσ、パワー1.5W、GaAs量子効率0.28%で最大1.8mAのビーム生成に成功した。 H24年度10月にはcERLに電子銃を移設し、入射空洞、診断用ビームラインに接続した。H25年度4月末の運転開始以降、390keVの電子ビームを安定に供給し続けており光陰極の大きな劣化も観測されていない。主に500keV電子ビーム生成試験について報告し、cERLでの電子銃運転状況についても触れる。