MOOS14  加速器技術(電磁石)/加速器応用・産業利用2  8月5日 シンポジオン会議室 15:30 - 15:50
3次元らせん軌道ビーム入射のためのパルス状磁場発生装置の開発
Development of a pulsed radial field kicker for a spiral injection beam
 
○飯沼 裕美,佐々木 憲一,中山 久義,三増 俊広,三部 勉(KEK),阿部 充志(日立・日立研)
○Hiromi Iinuma, Ken'ichi Sasaki, Hisayoshi Nakayama, Toshihiro Mimashi, Tsutomu Mibe (KEK), Mitsushi Abe (Hitachi)
 
新しい方式のミューオン異常磁気モーメントと電気双極子の超精密測定実験がJ-PARCで計画されている。実験は、MLF の大強度ミューオン源から300MeV/c のミューオンビームを作り、中心磁場3T、半径33.3cm の円軌道に蓄積し、ミューオンスピン歳差運動の角速度を精密測定する。実験の要請は、(a) ビーム蓄積磁場の均一度0.5ppm、(b) ビームエミッタンス数10μm 程度である。これらを満足するために、ソレノイド磁石への3 次元らせん軌道入射を新たに考案した。 この方式は、ビームをフリンジ部に入射し、磁場に従って蓄積領域まで誘導し、垂直キックを与えて軸方向の運動を止め、平面内の周回軌道にビームを保持する。ビーム蓄積領域とビーム入射部分はソレノイド軸方向に距離を取り、蓄積領域の磁場制御を効果的に行いつつ、入射部と蓄積部を滑らかにつなぐ一体型構造にして入射部でのビームエミッタンス増加の最小限に抑えるようにする。垂直キックの時間スケールは半周期200 ナノ秒程度のサイン形状のパルス磁場にする。ミューオンの円軌道の周期は7.2 ナノ秒なので1 回のキックの間に30 周回する。よって、磁場の空間分布形状は、ソレノイド軸対称が望ましい。 本発表では、3 次元らせん軌道入射方式の概要と蓄積ソレノイド磁石の概念設計を紹介し、垂直キックためのパルス状の磁場発生装置の試作と磁場の空間・時間分布の測定結果を報告する。