MOOS04  加速器技術(診断/制御1)  8月5日 シンポジオン会議室 11:10 - 11:30
有機ポッケルス EO 結晶を用いた電子バンチ電荷分布測定 (1)
Electron bunch charge measurements with organic Pockels EO crystals (1)
 
○岡安 雄一,松原 伸一,冨澤 宏光(JASRI),小川 奏,南出 泰亜,松川 健(RIKEN)
○Yuichi Okayasu, Shinichi Mtsusbara, Hiromitsu Tomizawa (JASRI), Kanade Ogawa, Hiroaki Minamide, Takeshi Matsukawa (RIKEN)
 
高次高調波をシード光とした FEL 発振を実現するためには、電子バンチとシード光の時間・空間コヒーレンスを、ショット毎に非破壊で制御することが極めて重要である。これまで数々の FEL 加速器施設において、GaP や ZnTe に代表される無機ポッケルス電気光学 (EO) 結晶を用いた EO サンプリングにより、極短電子バンチのバンチ長非破壊計測がなされてきた。しかしながら、GaP 及び ZnTe は、それぞれ計測対象であるバンチ起因の電場周波数帯域である ~11 THz、~5 THz 近傍に顕著な吸収特性を有することから、~50 fs (rms)、~90 fs (rms) 程度の時間分解能の制限が存在している。これに対し、2012 年 2 月に、我々はSPring-8 の SCSS 試験加速器において、高速時間応答が確認されている有機ポッケルス EO 結晶 : 4-N, N-dimethylamino-4’-N’-methyl stibazolium tosylate (DAST) を使用した、スペクトラルデコーディングによるEO サンプリングによる電子バンチ電荷分布計測に世界で初めて成功した。この実験で得られた知見を元に、2013 年 3 – 4 月に同施設において、厚み・アニール処理の有無といった複数の DAST 結晶を用意し、バンチ電荷分布計測を行った。 本学会では、主にバンチ電荷量と EO 信号強度の相関、及び測定系近傍での空間積算線量と結晶の寿命に焦点を当てた評価・報告に加え、今後の方針について議論する。